2025/11/18

茨城県WWL×常磐大学 「(外国にルーツを持つ子どもへの)日本語支援体験講座」

 令和7年11月13日(木)の県民の日に、常磐大学×茨城県WWLによる公開講座「日本語支援体験講座」が常磐大学で開かれました。この講座は、茨城県WWLのコンソーシアムメンバーである常磐大学人間科学部の飯野令子教授と石﨑友規准教授が、茨城県WWLの拠点校である本校と連携校のために企画してくださいました。

本校からは日本語教育や外国人支援に関心のある5名の生徒が参加しました。この講座は、教員免許を取得するための勉強をしている常磐大学の学生と一緒に行いました。

まず最初に、飯野教授から、

・外国にルーツをもつ子どもたちが、家族間であっても同じ言語で意思疎通が図れないなどの複雑な言語環境に置かれており、日本語の学習の支援を必要としていること

・そうした子どもたちは、親が生きるために祖国を離れ、日本に外国人として来日したことで、非常に大きなストレスにさらされ続けること

などについて講義をしていただきました。

実際にひたちなか市に小学校のときに来日し、親は日本語をいまだに十分に話せない環境にありながら、自分自身は大変な努力をして日本語を習得し、常磐大学に学んでいるフィリピン出身の学生にも話を聞きました。彼女の妹は日本語しか理解できず、親が話すフィリピンのことばができないため、家では、彼女が親と妹間の通訳をしているそうです。

その後、石﨑准教授による、常磐大学の教職課程の学生たちの授業にお邪魔し、外国人児童生徒と一緒にゲームを楽しみながら日本語を学ぶ、というプロジェクトに参加しました。

最初に、笠間市の日本語支援団体でボランティアとして外国人児童の日本語教育に関わっている学生の方から、日本語支援をどのように行っているかというプレゼンがありました。

その後、グループごとに分かれ、それぞれに考案した日本語を学ぶためのゲームを、この日のために訪れてくれた外国人児童生徒と一緒に楽しみました。

最初は本校生も戸惑っていましたが、積極的に子どもに話しかけ、ゲームを盛り上げようとする常磐大学生たちの配慮のおかげで、だんだんとプロジェクトの一員としてゲームに参加できるようになってきました。
  外国人児童に、グループで考案したお買い物ゲームを教えています。「この字は読めるかな?」本校生が手伝っています。
配られたひらがなのカードを組み合わせて、言葉を作るゲームです。
           
 「どういうことばができるかな?」外国人児童と一緒に考えています。
  小さい小学生から同い年の高校生まで様々な外国にルーツを持つ子どもたちと話すことができました

 水戸市の日本語教室から来てくれた国籍も年齢も多様な外国にルーツを持つ子どもたちと関わることで、これからの学校教員にはこのような日本語支援を必要とする児童生徒への指導の知識や経験が必要になる、ということがわかりました。

以下は生徒の感想です。
◆この活動を通して、日本語が不自由なこどもにも様々なタイプがあることや、母国語と日本語を同時に学ぶことでどちらも伸ばすことができるなど、初めて知った大切な学びがありました。大学生の方々との交流では、人との接し方を自然に学ぶことができました。この経験は、将来や進路で悩んでいた自分に大きなヒントをくれました。この講座に参加することができて本当によかったです。
◆日本国籍をもっていても日本語学習の支援が必要な外国人が1万人以上もいる現実に驚きました。大学生が考えたゲームでは、外国籍の子供たちと一緒に日本語を通して遊ぶことができて楽しかったです。よい異文化交流の機会となりました。
◆外国にルーツをもつ子供たちで、なぜ日本語が話せない子供たちがいるのか理解することができました。今回、これまで自分がボランティアで関わってきたひたちなか市の日本語教室での経験が役に立ちました。あっと言う間の3時間でした。今私は「やさしい日本語」について調べています。常磐大学の皆さん、ありがとうございました。
◆このイベントに参加できて本当によかったです。年々増加している日本語の支援を必要とする外国にルーツをもつ子供たちの課題などを学んだあと、実際に外国籍の子供たちと日本語のゲームを通して一緒に楽しむことができてとても貴重な経験になりました。自分には、外国にルーツをもつ友人がいるので、今回の講座を親身になって聞くことができました。彼らは、母国語と日本語という言語の違い、さらには文化の違いを、小さい頃から受け入れなければならず、とても大変だと思います。今回の活動を通して、言語を学ぶ側ではなく、言葉を教える側の難しさに気づきました。ありがとうございました。
◆日本語指導が必要な外国人にも色々な背景をもつ人がいることを学んだ。大学生との交流を通して、外国人も楽しめるゲーム作りも学ぶことができた。ふだんボランティアを行っているひたちなか市の日本語教室に通ってくる外国人とは違った年齢層の人と交流できて楽しかった。

勝田中等教育学校は、茨城県WWLの拠点校として、「茨城県を未来型ダイバーシティ県にするための教育」をテーマに探究活動を行っています。生徒たちは、3年次のグローバルゼミ、4~5年次の英語ゼミを通して、多文化共生社会について学び、課題解決に向けて様々な研究をしています。今回の常磐大学主催の「日本語支援体験講座」は、そのような生徒にとっても非常に貴重な学びの機会となりました。常磐大学の先生、学生の皆さん、本当にお世話になりました。

11/30(日)には、本校の体育館において、茨城県WWL(本校)×茨城大学×茨城高専×ひたちなか国際交流協会による「防災運動会」を開きます。地域の外国人と日本人がともに、防災知識を楽しみながら身に付けようという企画です。興味がありましたらぜひご参加ください。